【千葉⼤学医学部附属病院 副病院⻑、病院経営管理学研究センター⻑、ちば医経塾塾⻑ 井上貴裕】
DPCに参加する急性期病院にとって医療機関別係数は収益に直結することであり、1年、あるいは2年に1回変更される機能評価係数IIおよび基礎係数(医療機関群)で、どのような評価を受けるかは重要である。
新型コロナウイルス感染症の影響もあり、2021年度については年度ごとに見直される機能評価係数IIが前年度に据え置かれるなどの対応も行われた。厚生労働省内でも係数どころではなかったのであろうし、コロナの影響を強く受けた中で、どのような評価をすればよいかは難しい面もあったと想像される。ただ、いつまでも係数を変更しないことになると、コロナ禍でも頑張る各病院の努力が反映されず、それも不公平である。そこで22年度改定については、臨時的な取扱いを行うこととし=資料=、コロナ禍であっても急性期病院が社会を支えたことを評価することとされた。
表は医療機関群別に機能評価係数IIの各項目と機能評価係数II合計の6項目の相関係数を見たものである。1に近いほど機能評価係数II合計が高くなることを意味している(0.4以上に色を付けている)。
DPC標準病院群を例に取れば、地域医療係数、カバー率係数、救急医療係数の相関係数が高い傾向があり、さらにDPC算定病床数とも有意に正の相関をしている。つまり、田舎にある大病院ほど体制評価でポイントが付き地域のシェアを取りやすく、多様な患者を受け入れており、救急にも注力する傾向がある。結果として、そのような病院の係数が高いことになる。数値を見ると20年度と22年度では大きく傾向は変わらないが、DPC算定病床数との相関係数は下落していることは注目される。さらに、大学病院本院群で見ると複雑性係数の相関係数が高く、これは医療機関群ごとの評価であるため、患者構成が大学病院本院で大きく異なっていることを意味する。22年度改定では、大学病院本院でカバー率係数の相関係数が高まり、これもコロナ特例が影響している可能性がある。本稿ではさらなる深掘りを行い、今後の地域医療の在り方について考える。
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次回配信は8月8日5:00を予定しています
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