【株式会社メディサイト 代表取締役 松村眞吾】
4月の診療報酬改定項目、いわゆる短冊が出た。その中に「紹介受診重点医療機関」という言葉が出てくる。本稿ではこれに注目したい。連載第2回で外来機能報告のことについて触れたが、地域の拠点となる病院は「医療資源を重点的に活用する外来を地域で基幹的に担う医療機関」とされ、外来においても、基本的には3つの機能を担うとされた。すなわち、(1)医療資源を重点的に活用する入院の前後の外来(2)高額等の医療機器・設備を必要とする外来(3)特定の領域に特化した機能を有する外来-である。まずはこの意味を少し深掘りしてみる。
今改定において、「かかりつけ」機能の評価が200床未満中小病院や地域包括ケア病棟評価で示されたと思う。欧州各国は「かかりつけ」の充実・強化を中心とする医療制度改革を行ってきた。我が国もそれに倣おうとしている。「かかりつけ」医や「かかりつけ」薬剤師あっての「医療資源を重点的に活用する」病院外来、つまり「紹介受診重点医療機関」であり、「かかりつけ」と病院の分業と連携が狙いとなる。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)においてはどうだっただろうか。診療所は(発熱患者は診ないという所も多かったが)発熱外来とワクチン接種を担い、治療は病院で行うという役割分担があった。
経口剤が開発されて診療所外来でもコロナ治療が普及していく。そんな中にあって着目したいのは、生活習慣病の重症化予防である。コロナ重症化リスクは、高齢と基礎疾患であるとされた。第4波、第5波で「基礎疾患なし」とされていた重症者・死亡者の多くは、実のところ、治療していない糖尿病であったと報告されている。ここ数年、厚生労働省が繰り返し叫んできた生活習慣病の「重症化予防」は、目に見える形で具体化されているのだろうか。答えは否である。
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