2018年9月6日午前3時すぎに発生した北海道胆振東部地震で、国内初のブラックアウトを経験した市立函館病院。その時、院内では何が起きていたのか。同病院救命救急センターの武山佳洋センター長に事業継続計画(BCP)の現状を聞いた。【川畑悟史】
市立函館病院救命救急センターの武山センター長(写真は同病院提供)
-北海道胆振東部地震から3年が過ぎました。
あの日、私は事務作業で院内におり、災害対応の得意な救急医が当直で重症患者を診察していた。午前3時すぎに大きな揺れに見舞われ、すぐに院内の被災状況を確認しようと、研修医を招集。救急外来に臨時の対策本部を設け、当直の看護師長らと院内を調べ、地震による大きな被害がないことを確認した。ところが、その直後に停電になった。非常電源を使って、テレビから情報収集していると、この停電は、どうやらブラックアウトではないか、ということが分かった。当院の診療継続だけではなく、全道的な対応も必要になるだろうと、その時は考えていた。午前4時ごろには幹部も病院に駆け付け、午前5時くらいには病院全体の対策本部を立ち上げた。
午前6時ごろに行われた院内の会議では、ブラックアウトにより使用できる電力が制限されているということを踏まえ、通常の外来をやめたり、緊急を要しない画像、血液それぞれの検査や手術を抑えたりすることを決めた。非常用の自家発装置は備えていたが、その自家発でカバーできる電力は施設全体の半分程度だった。
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