【株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺優】
■急性期病院で進む患者高齢化
「うちは高齢患者が多い」と病院長が言うのは、急性期の市中病院「あるある」の1つだ。多くの場合、その病院だけ特別、高齢患者が多いわけではなく、他の急性期病院と同じ程度に高齢患者が多いだけである。多くの病院長がそのように感じてしまう理由の1つには、大学病院の教授から市中病院の病院長に転じた先生が、大学病院と比較して高齢患者が多いと感じるケースだ。急性期一般入院料1では、80歳以上の割合が3割を超えているのに対し、特定機能病院入院基本料は2割に満たない。
資料
2021年度 入院医療等の調査・評価分科会 とりまとめ【 別添 】 資料編
厚生労働省ホームページより(https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000849059.pdf)
そして、もう1つの理由が、近年、急速に高齢化が進んでいるためだ。総合入院体制加算を届出している急性期基幹病院のA病院を例に挙げると、80歳代、90歳以上の患者は増加傾向にある=グラフ1=。なお、60歳代の急減と70歳代の急増は団塊の世代がその年代間を移っている影響である。
グラフ1 A病院 年齢階級別退院患者数 年度推移
A病院 病院情報の公表(A病院ウェブサイト)を基に作成(グラフ2も同様)
80歳以上を比率で見ると、15年度16.9%だったが、20年度は20.7%までアップしている=グラフ2=。さらに、急性期病院では高齢患者ほど在院日数が長くなりがちである。それゆえ、退院患者数で数パーセントの違いが、延べ入院患者数ではそれ以上の大きなインパクトになっている。
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次回配信は12月8日5:00を予定しています
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