利益率が高くない医療界の中で、税制というのは生命線の1つだ。四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会)の2022年度税制改正要望を取りまとめた日本医療法人協会の伊藤伸一会長代行に聞いた。【川畑悟史】
日本医療法人協会の伊藤会長代行(写真は社会医療法人大雄会提供)
-22年度の税制改正要望で、控除対象外消費税の抜本的な解決を筆頭に挙げています。
社会保険診療報酬の非課税に伴う控除対象外消費税については消費税導入直後から大きな問題があると指摘してきた。消費税導入時、医療機関が支払うであろうと推計される部分を、診療報酬に上乗せして、マクロで補填するという形が、今も続いている。
-改めて、これまでの経緯を教えてください。
当初から診療報酬上の補填という形は問題があった。補填の対象となった診療報酬の項目は、3%導入時で4000くらいあった中で、わずか12項目。その12項目に消費税相当分を加点し、診療報酬全体で0.76%が補填された。その中で、各医療機関は仕入れにかかる消費税を支払うこととされた。同じように5%に消費税率が引き上げられる際には5000ほどある診療行為の中で、25項目だけ加点し、0.77%が診療報酬に上乗せされた。
しかし、これはおかしな手法で、消費税相当分が上乗せされた診療報酬は、頻繁に算定する所と、ごくごく限られたときに算定する所があり、個々の医療機関の補填状況に大きな差があった。
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