【株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺優】
■救急医療管理加算はデータに基づく議論が展開
2022年度診療報酬改定の論点の1つに、救急医療管理加算が挙げられている。前回改定では、「患者の重症度等に応じた質の高い救急医療を適切に評価する観点から、救急医療管理加算について要件を見直す」ことを基本的な考え方とした上で、「救急医療管理加算を算定するに当たって、項目ア-ケのうち一部の項目に係る重症度の指標や、入院後3日以内に実施した検査、画像診断、処置又は手術のうち主要なものについて、診療報酬明細書の摘要欄に記載することとする」とされた=資料1=。
資料1
中央社会保険医療協議会 入院医療等の調査・評価分科会(20年9月10日開催)資料
答申書附帯意見には、「救急医療管理加算の見直しの影響を調査・検証し、患者の重症度等に応じた救急医療の適切な評価の在り方について引き続き検討すること」と記載された。20年4月の改定以降の、救急医療管理加算の算定症例には、重症度の指標や入院後3日以内に実施した主要な医療資源投入内容などが、診療報酬明細書の摘要欄に記載されることとなり、今回の改定ではデータに基づく議論が展開されることが想定されていた。
■大前提となる救急医療管理加算の地域差
救急医療管理加算は、算定による直接的な報酬が大きいことに加え、「重症度、医療・看護必要度」のA項目の評価(看護必要度IIの場合)や、DPC算定病院の機能評価係数IIの救急医療係数の計算対象など、間接的な評価も得ることができる。病院経営においては、救急医療に対する相応の評価として重要である。また、救急医療管理加算の点数は、改定のたびに引き上げられている(※)。これは、急増する救急搬送患者の積極的な受け入れを促す意味もあると考えている。
(※)加算1と2に分かれた後は、加算1の点数を比較した場合。
ただし、救急医療管理加算の算定は、4倍以上の地域差が生じている(一般病床100床当たりの算定件数で比較)=グラフ1=。医療には、西高東低となる病床数や医師数などさまざまな地域差があるが、4倍という格差は、これらの中でも極めて大きな開きである。
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次回配信は11月24日を予定しています
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