【北海道介護福祉道場 あかい花代表 菊地雅洋】
ケアプランの「居宅サービス計画書」と「施設サービス計画書」は、介護保険法での法的位置付けが異なっている。前者は償還払いが原則である介護給付費を現物給付化する手段とされているが(同法第41条6)、後者は施設サービスの要件となっている(同法第8条27・28・29)。これらの法的位置付けについては、下の表を参照していただきたい。
このように、施設サービス計画はサービス提供の必須条件とされているため、暫定プランもしくは本プランのないサービス提供は認められていない(居宅サービスの場合は、償還払いで利用するのであれば居宅サービス計画のない利用が認められる)。
ところが、介護施設の中には、この計画が形骸化している所が少なからず存在する。作成は義務付けられており、実地指導で確認されるため、施設サービス計画書が作成されていないわけではないが、介護職員がその内容を知らないまま日常の介護に当たっているという状態が見受けられる。
施設サービス計画書には、提供するケアサービスの具体的な内容を示すことになっているが、実際に介護に携わる職員からは、「いちいちケアプランの内容を確認しながら業務を行う余裕なんてない」「決められた業務をこなすだけで精いっぱいで、個別の計画に沿った介護なんてできない」との声が聞こえる。そのような施設では、計画内容を無視したルーティンワーク中心のケアワークに陥っている。その結果、施設サービス計画書は実地指導の際に提出するだけの書類と化しているのだ。
この状態は、施設サービスが「施設サービス計画に基づき」行われなければならないという運営基準に違反する恐れがある。ただ、施設サービス計画書におざなりなADLケアだけを記入しておくことで、ルーティンワークである基本サービスを実施してさえいれば、計画に基づいていると見なすこともできるため、問題視されないことが多い。つまり、アセスメントを無視して利用者の個別性に配慮しない、「金太郎あめ」のような同じケアが機械的に行われているという意味だ。しかし、こうした状態は今後、運営指導の対象になる可能性が高い。
■LIFEからのフィードバックで計画の修正が必要に
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