【株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺優】
■地域包括ケア病棟を持つ施設は2,700以上に
地域包括ケア病棟入院料(入院医療管理料も含む)の届出を行っている施設は、直近、2,700施設を超えた=グラフ1=。地域包括ケア病棟はサブアキュート、ポストアキュート患者の受け皿として医療関係者の間では十分認識されていると言えよう。2025年を目途に、地域における切れ目のないサービス提供体制、すなわち地域包括ケアシステムの構築を推進していることを踏まえても、その名の通り地域包括ケア病棟の役割は非常に重要なものだ。
今回は、地域包括ケア病棟の活用と、適正な医療資源配置について考えてみたい。
グラフ1 地域包括ケア病棟の届出施設数
各地方厚生局 届出受理医療機関名簿(2021年8月16日確認)を基に作成
■一番メジャーな使い方は「自宅復帰への支援」
地域包括ケア病棟の最もメジャーな活用方法は、自宅復帰への支援である。地域包括ケア病棟の入退院経路で見ると、急性期病棟からの転棟、もしくは他院からの転院で入ってきて、家庭に帰るルートである=グラフ2(赤矢印参照)=。急性期病棟の診療は落ち着いたとしても、自宅復帰が困難な患者は少なくない。自宅復帰が困難な要因もさまざまであり、地域包括ケア病棟において、それらの困難な要因を取り除くためのケアを継続できる。急性期病棟から地域包括ケア病棟に転院・転棟することで、急性期病棟を空けることができる。資源配置の観点からは貴重な医療資源の有効活用に、医療財源の観点からは急性期医療の医療費の抑制につながる。
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