【株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺優】
■回リハの提供体制にある「地域差」と「施設間格差」
回復期リハビリテーション病棟入院料は、2000年度の診療報酬改定で新設された。背景には、ポストアキュート患者のリハビリニーズの高まりがあり、療養環境やリハビリ専門医、セラピストの不足の解消に極めて大きな役割を果たした。さらに、16年度の診療報酬改定で導入された実績指数により、リハの質向上と効率的な医療資源の利用を促す回リハ病棟の方向性が明確にされた。新設から20年以上が経過し、回リハの提供体制には2つの大きな差異が見られる。
これらの影響を可視化するとともに、競争が厳しくなっている回リハ病棟の差別化について考えてみたい。
■回リハの地域差は病病連携に影響を与えている
まず、回リハ病棟の病床数は、地域により大きな差異が見られる=グラフ1=。高知や鹿児島をはじめとした西日本は病床数が多く、茨城や秋田など東日本は病床数が少ない。
グラフ1 回リハ病棟入院料 人口10万人当たり病床数
病床機能報告(2020年度報告)、総務省統計局 人口推計(2019年10月1日現在)を基に作成
西高東低の病床数は、病病連携に影響を与えている。この人口当たり回リハ病床数と、DPC算定病院(急性期病院)の脳梗塞・大腿骨頸部骨折について、平均在院日数の関係を見た=グラフ2・3=。
回リハの病床数が全国平均より多い地域(C、Dエリア)を比較すると、どちらの疾患も在院日数の短い所が多い。この脳梗塞の平均在院日数が全国平均より短いDエリアを見ると、回リハの病床数が多い所は15都府県であるのに対し、平均在院日数が長いCエリアでは9県だった。大腿骨頸部骨折も同様に、在院日数の短いDエリアが17府県に対し長いCエリアが7府県となっている。病床数の少ない地域は逆に、在院日数の長いAエリアが多くなっている。
グラフ2 人口10万人当たり回リハ病床数とDPC算定病院における脳梗塞の平均在院日数の都道府県分布
病床機能報告(2020年度報告)、総務省統計局 人口推計(2019年10月1日現在)、DPC公開データ(2019年度実績)を基に作成
グラフ3 人口10万人当たり回リハ病床数とDPC算定病院における大腿骨頸部骨折の平均在院日数の都道府県分布
病床機能報告(2020年度報告)、総務省統計局 人口推計(2019年10月1日現在)、DPC公開データ(2019年度実績)を基に作成
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次回配信は8月18日5:00を予定しています
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