【株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺優】
■地域包括ケア病棟への院内転棟割合は5割を超えている
2020年度病床機能報告のデータを基に、地域包括ケア病棟入院料を算定する病棟(病室単位の地域包括ケア入院医療管理料は含まない)の入退院(入退棟)の経路を見ると、入棟患者の5割以上が「院内の他病棟」から来ている=グラフ1=。急性期病棟に入院して病態は落ち着いたものの、まだ退院できないという状態の患者が、同じ病院の地域包括ケア病棟で加療を継続するケースは、かなり一般的である。一方、「他の病院、診療所」からの入院は1割程度と少ない。仮に地域完結型を理想形とするならば、現実は程遠い。
グラフ1 地域包括ケア病棟入院料算定病棟の入退院(入退棟)経路
病床機能報告(2020年度報告)を基に作成
地域包括ケア病棟入院料1と2で比較すると、入院料1は「院内の他病棟」が少なく、「他の病院、診療所」が多い=グラフ2=。入院料2は、200床以上の病院が届出しているケースが多いため、院内に複数病棟を持っているところが多い。結果的に、入院料1は地域完結型、入院料2は院内転棟型、という特性が生じている。
グラフ2 地域包括ケア病棟入院料算定病棟の入退院(入退棟)経路 (左)入院料1(右)入院料2
病床機能報告(2020年度報告)を基に作成
病床規模ごとに入院経路を比較すると、その傾向は顕著に現れる=グラフ3=。99床以下の病院の地域包括ケア病棟では、2割近くが「他の病院、診療所」からの患者であるのに対し、400床以上では2%程度とごくわずかである。
グラフ3 地域包括ケア病棟入院料算定病棟の入院(入棟)経路 病床規模別
病床機能報告(2020年度報告)を基に作成
※病床規模は病床機能報告の報告対象の総病床数(精神病床等は含まない)
■DPC算定病院における地ケア病棟の特徴は
前回改定の議論において、DPC算定対象病院では入院期間IIを過ぎた患者を、院内の地ケア病棟に転棟させているとの指摘があった。議論の結果、DPC算定病院では、地ケアに転棟した患者は期間IIまではDPC点数を継続することとなった。
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次回配信は8月4日5:00を予定しています
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