【株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺優】
■年々増加する認知症ケア加算の届出施設
2015年1月に策定された認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)の、7つの柱の1つである「認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供」を踏まえ、16年度改定で認知症ケア加算が新設された。現状、一般病床を有する病院において認知症ケア加算の届出を行う施設は徐々に増えており、直近では6割弱が届出を行っている=グラフ1=。高齢化の進展により求められるケアの内容が変化すれば、提供する側はそれに応じた体制を整える必要があり、認知症ケア加算の項目が設定されたことで、その取り組みが促進されたと考えられる。
グラフ1 認知症ケア加算 病床規模別 届出施設割合推移(一般病床を有する病院における届出割合)
各地方厚生局 届出受理医療機関名簿を基に作成
届出している施設割合は病床規模により異なる。300床以上では8割を超えている一方で、99床以下は4割に満たない。おそらく中小病院では認知症ケアチームの体制を整えることが難しいためだろう。ただし、設立母体別に届出割合を見ると、99床以下であっても、公的病院は9割以上が認知症ケア加算の届出を行っている=グラフ2=。一方、民間病院は3割強とかなり低い。この傾向は、せん妄ハイリスク患者ケア加算(20年度改定で新設)の届出割合で見ても似ており、中小病院は届出割合が低く、特に民間病院の割合が低い=グラフ3=。
グラフ2 認知症ケア加算 病床規模・設立母体別 届出施設割合(一般病床を有する病院における届出割合)(21年5月1日時点)
各地方厚生局 届出受理医療機関名簿を基に作成
グラフ3 せん妄ハイリスク患者ケア加算 病床規模・設立母体別 届出施設割合(一般病床を有する病院における届出割合)(21年5月1日時点)
各地方厚生局 届出受理医療機関名簿を基に作成
■認知症患者は少なくないのに、診療報酬としての評価につながらない施設
22年度改定の検討材料となる「入院医療等における実態調査」の最終調査結果報告書から、入院料別の届出状況を見ると、急性期一般入院料や地ケア、回リハは届出施設割合が高い。一方で、地域一般入院料は低い=グラフ4=。
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次回配信は7月7日5:00を予定しています
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