【株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺優】
■少子高齢化の進展により出生数は100万人割れが続く
第一次ベビーブーム(1947-49年頃)には約270万人、第二次ベビーブーム(1971-74年)には約210万人の出生数だったが、これ以降は減少傾向が続き、2016年には100万人を割り込んだ=グラフ1=。その後も減少は止まらず、20年は前年より2万6,000人程度減少した(速報値ベース)。
出生数の減少は、地域における周産期・小児医療の提供体制に少なからず影響を与える。24時間365日の体制維持が求められる周産期医療において、出生数が極端に少なくなれば経営的に厳しくなる。また、これまで手薄な体制で地域医療を守ってきたエリアは、医療従事者の善意で成り立っていたと言っても、過言ではないだろう。しかし、このような特徴がある地域は、この先の働き方改革を乗り越えることが極めて難しい。人口動態から、周産期・小児医療は最も早く医療需要の減少に直面している領域である。つまり、この領域における地域の動向などを注視することは、今後、さまざまな領域で徐々に表れる需要減少の影響の理解と、その対策を考える上で有益だろう。
グラフ1 出生数の年次推移
厚生労働省 人口動態調査(2019年)を基に作成
出生数が減少する一方で、2,500グラム未満の新生児の出生数と割合は、90年代から2000年代にかけて増加した=グラフ2=。全体の出生数が減少したため、2,500グラム未満の出生数こそ減少し始めているが、割合は2000年代以降10%弱でほぼ横ばいとなっている。そのため、全体の出生数は減少していても、ハイリスクの妊婦の管理や分娩の対応などへの負担は、相対的に重くなっているものと思われる。
グラフ2 2,500g未満の出生数・割合の推移
厚生労働省 人口動態調査(1984-2019年)を基に作成
■新生児疾患の集約化が進んでいる地域はどこ?
データ提出病院において、MDC14新生児疾患、先天性奇形に分類される退院患者数が年10件を超える施設はそれほど多くない。DPC算定病院では半数強、DPC準備病院・出来高病院では5%程度にすぎない=グラフ3=。10件以上の施設であっても多くは100件未満であり、1,000件を超えるのはほんの一部の施設にすぎない=グラフ4=。なお、1,000件を超える施設の多くは、こども病院や大学病院などである=表=。
(残り1706字 / 全2718字)
次回配信は5月12日5:00を予定しています
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】