2022年度薬価制度改革に向け、財務省は、新薬の薬価算定方式についても問題点を具体的に指摘した。特に、既存類似品がない場合の原価計算について、営業利益率の適正化、新規性が乏しいものへの減算方式の導入、開示度が低いものの算定をさらに厳しくすることを求めた。また、補正加算の在り方として、要件が緩やかな有用性加算IIから「製剤における工夫」を除外すべきだとした。【ライター 設楽幸雄】
新薬の薬価は、既存品に薬理作用類似薬がある場合は、その中から最類似薬を選定して、1日薬価を最類似薬と同額に設定し、さらに治験で有効性や安全性が既存品に対して有意に上回っていれば、有用性加算が算定される。これが、新薬の薬価算定の基本となっている。
一方、薬理作用類似薬がない場合には、製造原価を基本に営業利益や研究開発費、流通費、消費税を積み上げる原価計算方式となる。
当初は、有用性加算は認められていなかったが、その後、革新的新薬の開発促進の観点から認められるようになり、営業利益に加算を算定していた。しかし、薬価制度抜本改革により、現在では、製造原価、営業利益、研究開発費、流通費、消費税を合算した全体に対して、有用性加算を算定する方式となっている。
また、営業利益については、上場製薬企業の直近3年間の平均利益率を使用して算定することとしている。
(残り1199字 / 全1760字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】