厚生労働省は、多剤服用により転倒といった有害事象の発生リスクの増加などにつながるポリファーマシーを解消するための手順書を公表した。対策の「始め方」や「進め方」の順序や留意点を解説しており、主に病院の医師や薬剤師らによる活用を促している。【松村秀士】
手順書は、同省の「高齢者医薬品適正使用検討会」での議論を基に作成されたもので、院内でポリファーマシー対策を始める際や取り組みの初期に直面する課題を解決するためのツールとして利用してもらったり、既に取り組んでいる病院での参考資料にしてもらったりするのが目的。また、主な利用対象者は、病院の医師や薬剤師らだが、同省はポリファーマシー対策に携わる他の医療者や、診療所にも使ってもらいたい考えだ。
内容は、対策の「始め方」や「進め方」などの3章で構成。第1章では、「身近なところから始める方法」として、▽担当者を決める▽小規模から始める▽対象患者は対応可能な範囲で決める▽既にある仕組みやツールを活用する-ことを挙げている。
このうち、対象患者の範囲の決定では、「病棟・診療科、対応時間、対象患者の優先順位をつけることで活動を導入・維持しやすくなり、目的も明確になる」と説明している。
対策を始める際の対応方法としては、対策に関する業務量を可視化し、事務職員や医師事務作業補助者らが医療職の代わりに行える業務を整理した上で、タスクシフティングするよう勧めている。また、電子カルテをカスタマイズし、ポリファーマシーが疑われる症状のカルテへの記載や処方薬数、薬剤種類などの条件から、対象患者を自動的に抽出できるようにすることも促している。
■入院患者への対応フローを図示
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