【吉備国際大学 保健医療福祉学部 作業療法学科 学科長・教授 京極真】
Q 4月から管理職になることが決まりました。より良い管理職になりたいと思っていますが、どうしたら信念対立に陥りにくいチームマネジメントができるようになるでしょうか。スタッフが生き生きできる職場を作るために、信念対立を引き起こしにくいリーダーシップの在り方について教えてください。
結論を言うと、(1)スタッフを公平に扱う、(2)管理職としての役割を全うする、(3)信頼でつなぐ、という3点が大切です。信念対立を引き起こすリーダーシップを理解した上で、これらを意識した組織マネジメントに取り組んでいきましょう。
■まずは信念対立を引き起こすリーダーシップを理解しよう!
昇進おめでとうございます! あなたにとって幸か不幸か分かりませんが、せっかく管理職になれるわけですから、存分にご活躍くださいますよう祈念いたします。
さて、信念対立を引き起こしにくいリーダーシップについて理解したいならば、どんなリーダーシップが信念対立を引き起こすのかを理解するところから始めるとよいでしょう。駄目なパターンが分かれば、それを回避することによってより良いリーダーシップを発揮しやすくなるからです。
信念対立を引き起こすリーダーシップとしては、以下のパターンが考えられます。
・スタッフを不公平に扱う
・管理職が役割を全うしない
・分断を促す
以下、それぞれ解説します。
1.スタッフを不公平に扱う
管理職が一部のスタッフを好意的に扱ったり、逆に敵意をもって接したりすると、部署内で信念対立が生じやすくなります。それによって、スタッフは不公平や不利を感知するため、フラストレーションをためやすくなり、ちょっとした意見の不一致がきっかけで排他的な行動が誘発される可能性が高まります。
例えば、管理職が従順なスタッフAを大切にし、そうでないスタッフBをぞんざいに扱ったとしましょう。スタッフAは管理職との関係を強める一方、スタッフBは両者に対して不信や敵意を深めるはずです。そうした関係性が、信念対立を引き起こしやすい状態を育むことは想像に難くありません。
従って、管理職がスタッフを不公平に扱うことは、信念対立を引き起こすリーダーシップであることが分かるかと思います。
2.管理職が役割を全うしない
管理職が役割を全うしない場合も、信念対立が発生しやすくなります。つまり、管理職が適切なリーダーシップを発揮しないわけですから、部署内に不穏な空気が漂い始めて、管理職とスタッフ、またはスタッフ間で衝突する可能性が高まることになるからです。
例えば、責任を取ろうとしない管理職は、スタッフからの信頼を失ってしまい、管理職VSスタッフという対立関係を生み出すことになります。また、指示を出そうとしない管理職は、スタッフの目指すべき方向性がバラバラになってしまい、スタッフ間で衝突する可能性を高めます。さらに、スタッフに対して感情的支援を行わない管理職は、殺伐とした部署を作ってしまい、一触即発の関係性を生み出すことになります。
管理職にはリーダーシップを発揮する役割が期待されています。管理職がその期待を満たさない場合、部署内に信念対立の嵐が吹き荒れることになります。
3.分断を促す
管理職がスタッフ間の分断を促す場合、その部署内で信念対立が生じやすくなります。それによって、スタッフ間で不信が渦巻くことになり、いざこざが起こりやすい素地を作ることになるからです。
例えば、管理職がスタッフAにはスタッフB、Cの悪口を言い、スタッフBにはスタッフA、Cの悪口を言い、スタッフCにはスタッフA、Bの悪口を言う、という行動に出ると、スタッフ同士で疑心暗鬼に陥ることは火を見るより明らかです。その場合、部署内の関係を維持する共通の基盤を失いますから、ちょっとしたことで衝突する可能性が高くなります。
従って、スタッフ間の分断を引き起こす管理職は、信念対立を引き起こしやすくする管理職だと言えます。
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