【千葉大学医学部附属病院 副病院長、病院経営管理学研究センター長、ちば医経塾塾長 井上貴裕】
北海道など寒冷地で新型コロナウイルスの第3波の懸念が広がりつつあるが、多くの病院業績はコロナ前の状況に近づきつつあるだろう。前稿「いよいよ本格稼働の時、強きはより強く弱きは衰退へ」で取り上げたが、9月が1つのターニングポイントであり、同月に前年度実績を上回ったケースは少なくない。この状況がいつまで続くのかという不安を抱えつつも、我々は将来に目を向けた取り組みを日々継続することが求められる。
この10月からは、2022年度診療報酬改定に向けた基礎係数および機能評価係数IIの実績評価期間に入っている。これらの評価基準はすでに固まっており、機能評価係数IIの状況については本連載で何度も取り上げてきた。ただ、DPC対象病院が1,757病院と過去最高になり、DPC算定病床を地域包括ケア病棟に転換する動きが目立つ中で、今までとは異なる状況が見える可能性もある。本稿では、20年度機能評価係数IIの実態に迫り、特に複雑性係数と効率性係数について地域包括ケア病棟の有無、病院の専門特性等を踏まえた再検証を行う。
表1は、機能評価係数IIの各項目と機能評価係数II合計の相関係数を医療機関群別に示したものであり、相関係数が0.4以上の項目に色を付けている。機能評価係数IIの6項目については均等配分で、全国のDPC対象病院に用意される予算は変わらないわけだが、項目によって差がつきやすいものとそうではないものがあるということだ。
表1
その一例としてDPC標準病院群について、救急医療係数と機能評価係数II合計の病院ごとの分布を見ると、確かに両者には相関があるように見える=グラフ1=。
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次回配信は11月30日5:00を予定しています
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