厚生労働省と国土交通省は7日、第1回の「令和2年7月豪雨災害を踏まえた高齢者福祉施設の避難確保に関する検討会」を開催した。豪雨災害により被害を受けた特別養護老人ホームの当日の行動などが示され、避難計画の作成や、避難訓練を行っていても、専門家ではない施設職員が適切な行動を取ることの難しさが浮かび上がった。【齋藤栄子】
2020年7月の豪雨災害では、国や県が管理する73水系218河川で外水・内水氾濫が発生し、全国で死者84人、行方不明者2人、住家全半壊9,213棟などの被害があった。被害が集中した熊本県では、球磨村の特別養護老人ホーム「千寿園」で14人が死亡する人的被害が発生した。
高齢者福祉施設の避難確保については、16年に台風10号により岩手県のグループホームで被害が発生したことから、地域防災計画に位置付けられた「要配慮者利用施設」は、避難確保計画の作成と訓練実施の義務化など取り組みを強化してきた。しかし、今回の事案が発生したため、避難の実効性を高める方策を取りまとめることを検討会の目的とする。
社会福祉施設等の避難計画では、避難確保計画(水防法等)と非常災害対策計画(介護保険法等)の作成を義務付けている。水防法に基づく避難確保計画作成率は、要配慮者利用施設のうち、社会福祉施設は20年6月末時点で55.4%(3万7,614施設)。また、両省は「避難計画点検マニュアル」を共同で作成し、市町村の民生主管部局、防災担当部局が連携して、指導監査の際に避難計画等を点検するよう周知している。
この日の検討会では、千寿園の避難確保計画の内容や災害当時の行動についての聞き取り内容が示された。
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