【吉備国際大学 保健医療福祉学部 作業療法学科 学科長・教授 京極真】
Q スタッフ同士の信念対立が後を絶ちません。この前も、看護師と作業療法士が病棟で行う自主リハの支援でもめていました。信念対立はあちこちで起こっているので、基本は当事者同士で対応してもらうのがよいかと思っています。しかし、中には管理職などの第三者が仲介した方がいいケースもあるかと思います。その目安があれば教えてもらえますか?
社会的信頼をおとしめる行動を認めるようなら、自己解決は難しい可能性があるため、第三者による仲介を実施するとよいでしょう。また、そうなる前に早期介入することも検討しましょう。
■社会的信頼をおとしめる行動が散見されるか?
確かに、信念対立は常に起こるものなので、第三者による介入を前提にするとキリがないから、基本は自力解決を促すといいです。そうはいっても、第三者の仲介が必要なケースも散見されます。「いつ仲介したらいいか?」という問いに答えるのは非常に難しいですが、1つの目安として“Glasl's Nine-Stage Model Of Conflict Escalation”が役立つかと思います[1]。これは前号「信念対立のエスカレーションにはどう対応するか?」のテーマである、対立のエスカレーションにおけるモデルの1つで、エスカレーションのメカニズムを理解することに加えて、その具体的な対応を考える上でも、有益な視点を提供しています。
これを参考にすると、信念対立の当事者たちが、社会的信頼をおとしめるような行動や、それに対する報復行動を採用しているようであれば、第三者の仲介をお勧めできると考えられます。こうした事態になると、当事者は信念対立の力動によって、組織における相手の基本的な地位を低下させることに焦点を当てるようになり、多職種連携で達成すべき本来の目的を見失っている状態です。当事者にとっては、信念対立を克服する唯一の選択肢が、相手を誹謗中傷することに感じられるでしょう。こうなってくると恐らく、自力で解明したり、マネジメントしたりすることは困難です。
例えば、信念対立している医師と看護師がいて、
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