【株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺優】
■急速に進む高齢化はまだ続く
1980年、65歳以上人口は1割に満たなかった。その後、高齢化が急速に進み、65歳以上人口は今や3割弱に増えた。今後も高齢化はさらに進んで、2065年には4割弱まで増えることが想定されている=グラフ1=。
グラフ1 高齢化の推移と将来推計
内閣府 令和元年版高齢社会白書を基に作成(2015年までは実績値、20年以降は推計値)
病院の建物は30年から40年ほどで建て替えることが多い。そのため、今、建て替えを考えている組織では、30年後の2050年くらいまでの人口動態や医療需要を考慮しているかもしれない。だが、考えているとはいえ、あくまでも30年後、40年後のことであり、高齢化の進んだ将来を具体的に認識し、今日の病院経営に反映させようとはあまり考えられていないだろう。
■「人口の高齢化」より速く進んでいる「患者の高齢化」
47都道府県のうち、東京・大阪・福岡などの人口200万人以上の都道府県と、沖縄を除いた30県で高齢化率の平均値を算出し、その値に近いA県をピックアップした。A県の県庁所在地であるA市は、A医療圏の人口の8割強を占めている。A市には大学病院、県立病院、市立病院、公的病院などの急性期医療を担う医療機関がそろっている。
そこで、A市の80歳以上の人口比率と、A市の急性期基幹4病院合計(大学・県立・市立・公的)の入院患者に占める80歳以上比率を比較した=グラフ2=。
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次回配信は7月8日5:00を予定しています
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