【吉備国際大学 保健医療福祉学部 作業療法学科 学科長・教授 京極真】
Q 指示待ちのスタッフが多くて困っています。その場ですぐ解決できるような、患者からのちょっとした要望への対応ですら「どうしたらいいでしょうか」と指示を仰ぎに来ます。スタッフに自立してほしいので、時に自分で考えて対応するように促していますが、スタッフの対応の雑さが気になってしまい、結局あれこれ細かな指示が必要になります。スタッフが管理職に依存せず、自分でしっかり動けるようになってもらうには、どうしたらいいですか。
指示待ちスタッフが生まれる構造を理解した上で、目的と状況を明確にすることによって自立を促しましょう。
■指示待ちスタッフが生まれる構造を理解すべし
このケースは、自立VS依存の信念対立の典型例です。管理職が体験する問題の一種で、相手に自立を期待しているのに依存され続けるため、管理職はちょっとずつ消耗しがちです。このような問題を解消するためには、指示待ちスタッフが生まれる「構造」に着目する必要があります。
では、このケースの場合、いかなる構造が背景にあるでしょうか。
結論から言うと、「自立を促しつつ細かくあれこれ指示を出す」という構造があるために、指示待ちスタッフが多くなっている可能性があります。管理職は、一般職のスタッフに比べて権力を持っています。権力は、管理職に自覚がなくても、スタッフがそう感じることで発生します。これを背景に、管理職が自立した行動を促しつつも、その行動を訂正する指示を細かく出し始めると、スタッフは、「自分で考えるよりも、1つ1つ確認した方が無難…」という気持ちになりがちです。つまりこの場合、管理職がスタッフに「自立を促しつつ細かくあれこれ指示を出す」ために、指示待ちスタッフが多くなっている可能性があることを考慮する必要があります。
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