【小濱介護経営事務所 代表 小濱道博】
いよいよ2021年度介護報酬改定を審議する、社会保障審議会・介護給付費分科会がスタートした。ただし、実際の審議は介護保険法改正案が国会で成立して以降となる。それまでは通常であれば月1回程度のペースで、前回の18年度改定の検証作業などを進めていくこととなる。今改定で注目すべきポイントを整理した。
1.自立支援介護と成果型報酬導入の動向
今回の改定の注目ポイントは、自立支援介護と成果型報酬導入であろう。近年の介護報酬改定では、リハビリテーションや機能訓練の成果を評価する加算が設けられてきた。通所リハビリテーションでの社会参加支援加算、通所介護でのADL維持等加算などである。これらは21年度改定で本格的に移行が始まる自立支援介護と、成果型報酬導入への布石と言われてきた。これらがどの程度、介護報酬に反映されていくかが注目される。
また、AIがケアプランを作成するということで認識が強い、科学的介護の介護報酬への反映も注目だ。自立支援介護に関連して、改善率や回復率といったデータベースを活用したエビデンスに基づき、その利用者の改善が最も期待できるサービスをケアプランに位置付ける考え方である。このデータベース構築のために、前回の報酬改定では通所リハビリテーションと訪問リハビリテーションにおけるリハビリテーションマネジメント加算に区分IVを設けて、データベース「VISIT」へのデータ提供を進めている。
デイサービスなどは「CHASE」と呼ばれるデータベースで資料解析を進める。このデータベースを活用したケアプランを作成するためには、システムの利用が必要となり費用が発生する。この費用の補助に当たる加算の新設も検討されるであろう。
2.処遇改善加算等の充実への期待
次に、次期介護保険法改正を審議してきた社保審・介護保険部会で注目されたのが、ケアマネジャーへの新たな処遇改善である。これはケアマネジャー対象の処遇改善加算が新設される可能性が高い。介護支援専門員協会も、創設に向けて力が入っているようだ。問題は、これが新たな処遇改善加算であるならば、同様の加算が3本となり事業所側の負担が増加することは否めない。既存の処遇改善加算等の統合を含めて、推移に注目していきたい。
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