【株式会社ジャパンコンサルタント アンド メディカルサービス代表取締役 森清光】
新型コロナウイルス感染は世界中に広がり、各地で大混乱を引き起こしています。特に、欧米などは中国国内感染期には楽観視していたものの、急速な感染拡大により都市閉鎖を余儀なくされて、医療システム・経済共に大打撃を受けています。
日本でも、当初はクラスター対策による封じ込めに一定の効果がありましたが、徐々に感染経路が追えない感染者が増え、4月7日には埼玉・千葉・東京・神奈川・大阪・兵庫・福岡の7都府県に政府が緊急事態宣言を発令しました。これにより、感染抑制効果が見られる、外出者の8割減以上を望んでいるようですが、現状は都市部で3割減程度との状況で、果たして効果が出るかはまだまだ不透明で、先の見えない状況は社会全体に暗い影を落としています。
さらには地方でも状況が悪化していることから、16日には対象区域を全国に拡大して、「特定警戒」に13都道府県を位置付けました。
医療業界・介護業界においても連日・連夜、院内感染が報道された東京の永寿総合病院を中心に、多くの感染症が発生した医療・介護施設が実名報道され、経営面はもちろんのこと、職員の家族が保育所等施設を断られる事態が発生するなど、各方面で大きな影響が出ています。慶應義塾大学病院の研修生や岐阜大学病院の医師など、業務外における行動が元で大学病院全体の評価を落とすような事態も発生しており、医師・職員共に、業務内外双方とも厳格な引き締めが求められる時期となっています。
また、新型コロナウイルスへの恐怖からくる受診者減や風評被害の影響が徐々に表れ、クリニック・病院問わず多くの医療機関が患者数減少となり、経営に大きなダメージを与えています。またこれを機に時限的にですが、オンライン診療が始まるなど医療を取り巻く環境が刻々と変化し、新たな対策も必要となります。
今回は改めて新型コロナウイルスによる病院の問題点と、対処について紹介したいと思います。
■経営について
目下、新型コロナウイルスによる病院の一時閉鎖は全国どこでも起こりうる状況となっています。現状最も大切なのは、手元資金の確保です。病院は、診療報酬のタイムラグにより資金不足の実感が遅れる傾向が多々見受けられますが、収入が早い健康診断や人間ドックの受診者減により、収入減は不足するでしょう。各企業も資金調達に追われていることから、銀行等融資窓口も大変混雑している上、審査にも時間がかかり、早め早めの相談が重要となります。借り換え時期などのタイミング調整では、診療報酬のファクタリングなど有効な方法もあります。しっかりとした金融機関系ファクタリングは、審査時間も融資と同等またはそれ以上かかるため、融資と同様に早め早めの対応をしましょう。
また、最悪の状況であれば、勝手に支払いをやめるのではなく、事前に金融機関・ローン会社と相談することでリスケ等や支払いの猶予も検討いただけると思います。
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