【株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺優】
■重要性が高まる救急医療管理加算
先日の中央社会保険医療協議会で、新型コロナウイルス感染症の患者受け入れに対する、救急医療管理加算1の算定や期間延長の特例が了承された(「診療報酬の特例8日にも事務連絡、厚労省」)。診療報酬による評価は、医療機関の収入となるまで数カ月のタイムラグがある。そのため、この評価は即効性において十分ではないかもしれない。しかし、医療機関が受けている経営的な影響に対し、1つ1つ対策を講じていくことが重要だろう。
救急医療管理加算は、医療機関における重症患者の受け入れ評価として、重要な役割を担っている。2020年度診療報酬改定で、加算1は1日900点から950点に、加算2は同300点から350点に引き上げられた。加えて、「重症度、医療・看護必要度II」において、加算算定患者はA項目2点(5日間)を得られるようになった。また、DPC算定病院では救急医療管理加算の算定患者が救急医療係数の評価対象となる。救急医療管理加算の要件を満たす重要性はますます高まっている。
■救急医療管理加算の算定に見られる地域差
ただし、救急医療管理加算の算定には、地域間で大きな差異がある。秋田や千葉のように算定件数の多い地域がある一方で、鹿児島や熊本をはじめとした九州では、算定件数が非常に少なくなっている。一般病床100床当たり件数の都道府県間比較では、加算1で10倍、加算2で6倍、加算1と2の合計で5倍の開きが見られた=グラフ1=。
グラフ1 救急医療管理加算の一般病床100床当たり年算定件数(17年度)
厚生労働省 第4回NDBオープンデータ、医療施設調査を基に作成
このような地域間格差は、ICU、HCUの重症者用の病床数の違いなどが一因と思われる。グラフ1の算定件数に応じて、都道府県を3グループに分け、都道府県別の査定率(救急医療管理加算以外も含めた医療費全体)の分布を比較した=グラフ2=。救急医療管理加算の、算定件数の多いグループでは査定率が低く、算定件数の低いグループでは査定率が高い傾向が見られた。
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次回配信は5月1日(金)5:00を予定しています
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