医療機関で使用されているN95マスクについて、厚生労働省は、滅菌器を活用して再利用するなどの「例外的取扱い」に関する事務連絡(10日付)を、都道府県、保健所設置市、特別区に出した。N95マスクの供給不足に伴うもので、複数の患者を診察する場合も、交換せずに同じN95 マスクを続けて使用することを容認した。厚労省は、クルーズ船内で検疫官が感染に至った原因として、「マスクと手袋を着用していたものの、交換頻度が十分でなかった」ことを挙げ、防護具を定期的に交換する重要性を説いてきたが、こうした防護具を十分提供できないことを前提に、医療現場で感染制御を進めざるを得ない状況となった。【新井哉】
N95マスクなどの個人防護具を巡っては、新型コロナウイルス感染症の患者が増加している国を中心に供給が滞っており、医師や看護師らが再利用を余儀なくされるケースが絶えない。厚労省も国内の医療現場で不足していることを認識しており、7日に出した事務連絡で、今後のN95マスクの供給について「当面のところ増加の見通しがたたない」と説明。こうした状況を踏まえ、N95マスクの再利用に関する海外の知見を収集していることを明らかにしていた。
今回の事務連絡では、使い捨てとされている N95 マスクについて、「再利用するなど N95 マスクの例外的取扱いにより効率的な使用を促進する際の留意点」を取りまとめたことを説明。都道府県などに対し、管内の医療機関などの関係者に周知するよう求めている。
取りまとめでは、N95 マスクについて、エアロゾルが発生するような手技を行う時(気管内吸引、気管内挿管、下気道検体採取等)に使用することを推奨しているが、これ以外の診療場面では、サージカルマスクなどを使用するよう促している。
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