【株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺優】
■地域医療体制確保加算は20年度改定の目玉
改定方針の重点項目に働き方改革を据えた2020年度診療報酬改定において、地域の救急医療体制で一定の実績がある医療機関を評価する「地域医療体制確保加算」が、500ページ弱ある答申の最初の項目として載った。救急搬送を受け入れるには、医師、看護師をはじめ、医療従事者の手厚い配置が不可欠である。勤務間インターバルの確保などの働き方改革を推進していくためには、さらなる手厚い人員の配置が求められる。しかし、先立つものがなければ、病院経営の悪化は避けられない。そのため、地域医療体制確保加算のような報酬面での充実が求められており、この加算は、今回の改定の目玉だと言える。
地域医療体制確保加算の施設基準のハードルは高い。救急車、ドクターカー、ドクターヘリの搬送件数が、年2,000件を超える病院が対象となる。病床機能報告(17年度)を参考にすると、三次救急300病院弱、二次救急600病院強、合計約900病院のみ該当する想定である。
施設基準を満たせば、入院患者に対し、入院初日に520点を算定できる。対象は救急搬送患者ではなく、入院患者である。入院を必要としない軽症者は、搬送件数にカウントされるものの、520点の算定対象とはならない。一方、施設基準を満たす病院であれば、算定対象病棟に入院する患者は、予定入院であっても算定できる。
上述の約900病院において、地域医療体制確保加算の年間算定金額を計算すると、平均で5,000万円程度となり、全国の総額は460億円程度となる想定である。二次救急と三次救急で分けると、二次救急は4,000万円前後、三次救急は7,000万から8,000万円前後に病院が分布している=グラフ1=。中には、1億5,000万円を超える病院もある。そのため、病院経営に対し、かなり大きなインパクトが期待できるだろう。
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次回配信は3月18日5:00を予定しています
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