厚生労働省は27日の社会保障審議会・医療保険部会で、議題とした後期高齢者医療の自己負担との関連で「現役並み所得判定」についての現状を説明する資料を提出した。改革工程表でも税制上の所得控除の見直しに合わせ、また現役世代との均衡の観点から検討することとされている。後期高齢者医療の自己負担も一定所得以上について2割とする方向であり、その一定所得の設定の観点からも、高齢者の所得水準の検討が重要な課題となる。【ライター 設楽幸雄】
後期高齢者医療は現在、原則1割負担だが、現役並み所得者は、現役世代と同じ3割負担となっている。また、原則2割負担の70-74歳世代も現役並み所得者は3割負担だ。
この現役並み所得の判定は、協会けんぽの現役世代の平均年収が夫婦2人世帯で386万円(給与のみ)であり、それを基に給与所得控除、基礎控除、配偶者控除、社会保険料控除を差し引いた後の「課税所得」が145万円となることから、この課税所得145万円以上を現役並み所得とすることを基本としている。
ただし、高齢者は、年金所得があって、そのほかに給与所得などがある場合があり、年金と給与との金額のバランスによって、課税所得にばらつきが出る。
厚労省は、年収が同じ382万円でも、年金が201万円で給与は181万円と年金が多いケースでは課税所得が144万円で現役並みに届かないため負担率は1割だが、年金が71万円で給与が311万円だと課税所得は150万円で現役並み所得となって負担率は3割になってしまうとの事例を示した。
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