社会保障審議会・医療保険部会は27日、一定以上の所得がある後期高齢者(75歳以上)の医療費の自己負担割合の在り方などを引き続き議論した。現在は1割の窓口負担を2割にすることについて、この日も保険者側の委員らが賛同したが、診療側や高齢者団体の委員が反対の姿勢を示した。一部からは、2割負担にする対象者の「線引き」を慎重に行うべきだとの意見も上がった。今夏までの取りまとめに向け、同部会ではこの議論を引き続き行う。【松村秀士】
政府の全世代型社会保障検討会議が2019年12月にまとめた中間報告には、後期高齢者(現役並み所得者は除く)でも一定所得以上の人については、医療費の窓口負担を2割にすると明記。また、新経済・財政再生計画の改革工程表2019では、中間報告で示された方針に基づいて最終報告に向けて検討を進め、社会保障の給付と負担の見直しに関する成案を20年夏までに得るとした。
27日の医療保険部会では、藤井隆太委員(日本商工会議所社会保障専門委員会委員)が、「新たに所得区分を設定すると制度がより複雑化することや、低所得者に配慮して既に高額療養費制度が講じられていることを踏まえれば、後期高齢者の自己負担割合は原則として2割とすることが必要だ」と指摘。安藤伸樹委員(全国健康保険協会理事長)も、後期高齢者の窓口負担は能力に応じた負担を基本的としつつ、現役世代の負担軽減につながる仕組みにすべきだと指摘した。
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