【合同会社アグリハート 代表社員 木村佳晶】
情報収集している方であれば容易に想像がつくと思うが、要介護1・2の総合事業移行が2021年度改正で行われないことには理由があるといわれている。それは、通所介護を利用する軽度要介護者の人数と、サービス利用の回数である。
17年度厚生労働省介護サービス施設・事業所調査の概況では、通所介護サービスを利用する要介護1認定者割合は36.1%、要介護2は30.6%となっており、要介護1・2だけでも全体の66.7%を占めている。同調査では、利用回数も平均9.1回/月となっている。訪問看護は6.9回、通所リハビリは8.2回であり、通所介護サービスを利用する要介護1・2の割合の高さと月間利用回数の高さが分かる。
これら多くの方々はケアプラン上、何かしらの生活課題があり、通所介護というサービスを利用している。日常生活上の支援(入浴や食事など)に始まり、機能訓練、社会参加の機会など多岐にわたる。そういった多様な課題がある利用者を総合事業に移行する場合、受け皿としての互助の仕組み、つまりインフォーマルサービスが少なく、介護難民化してしまう可能性が推測される。このことから、21年度改正では見送るが、引き続き議論と検証を行い、24年度改正までには地域や自治体での受け皿整備をしようというのが大きな理由だ。
では、これまでサービスの主体と期待されていたNPO法人や任意団体はそういった受け皿に「なり得るのか」という疑問が生じる。16年度の厚労省総合事業の実施主体等の状況からは、通所サービスの実施主体の87.4%が介護サービス事業者となっている。つまり、総合事業で期待される実施主体は、やはり介護サービス事業者が中心となり、フォーマルサービス(共助)とNPO法人やボランティア団体が運営するインフォーマルサービス(互助)が、互いにバランスよく有機的に機能するような地域デザインがなされていくべきだと言える。
そこで、前回の記事でも触れた1月17日開催の全国厚生労働関係部局長会議から、地域の介護インフラとして通所介護事業所が自治体と共同でできること、求められる役割、必要な準備とは何かについて、考えていきたい。
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