【吉備国際大学 保健医療福祉学部 作業療法学科 教授 京極真】
Q リハビリテーション科の科長から「看護科が協力してくれないため困っている」と相談がありました。看護師長が代わって、これまで看護師に依頼していた患者の送迎を断られたというのです。リハ科長は、「療法士が送迎すると業務が回らず、今までのように単位を取れない。事務長からも看護師長に言ってほしい」と訴えています。看護師長にその件で話しに行ったら、「看護師も人手不足で無理です」とけんもほろろに断られました。こういう問題にはどう対応したらいいでしょうか。
連携の拒否が起こる条件を理解した上で、(1)お互いの事情を共有する(2)連携する価値を明らかにする(3)ヘタに解釈しない-といった対応を心掛けましょう。
■連携の拒否が起こる条件
看護には看護の、リハにはリハの事情があるけども、それについてお互いに配慮できていない場合に、こうした問題が起こりがちです。
例えば、看護師からすれば、「リハの送迎は、本来リハの業務の一環でしょうに」と思っているかもしれません。けれど、リハからすれば、看護師に比べてスタッフ数が少ない上に、検温などの看護業務に支障が生じないタイミングに送迎する必要があるため、看護師にやってもらった方がいいと考えている部分が、少なからずあります。
他方、看護師の立場からは、リハ室への送迎時間は看護業務が忙しい時間帯に重なっていて、猫の手も借りたいぐらいの心境であるため、送迎ぐらいは自分たちでどうにかしてほしい、と思っているところがあります。
私たちは、自分たちの事情にはセンシティブですが、他人の事情にはインセンシティブです。これは、お互いの事情に対して配慮していてもです。そのため、今回のようにお互いの事情に対して配慮が行き届かないと、仕事の押し付け合いや、考慮することなく拒否する、といったことが容易に起こります。皆、自分のことには敏感ですが、他人のことには鈍感なのです。「連携する・しない」を巡る信念対立は、こういうささいなイザコザから悪い方向に発展していくので注意が必要です。
では、こうした問題はどう対応したらいいでしょうか。
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