厚生労働省は11日の中央社会保険医療協議会・総会で、「かかりつけ医」の機能を持つ医療機関が初診を行った場合に算定できる機能強化加算(80点)の算定要件に、文書での患者説明を追加することなどを2020年度診療報酬改定の論点に挙げた。「かかりつけ医」機能を普及させるための提案だが、診療側は医療機関の負担が増えるなどとして反対の姿勢を示した。一方で支払側は、患者から「かかりつけ医」に選んでもらえるメリットが医療機関側にもあるなどとして、患者への説明を要件化すべきだと主張。前回に続いて双方で意見が対立した。【松村秀士】
機能強化加算を巡っては、届け出済みの医療機関を受診すると患者の窓口負担が増えることから、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)は当初から、「かかりつけ医」機能を備えている医療機関への受診がかえって敬遠されかねないなどとし、対象者を限定するような要件の見直しを求めていた。これに対して、診療側は、同加算は「かかりつけ医」としての体制整備への評価だとし、見直す必要はないと主張していた。
10月30日の総会では幸野委員が、「かかりつけ医」機能を整備していることを院内に掲示したり、診察前に文書を渡して説明したりする対応を医療機関に求めるべきだとした。しかし、診療側の委員は、医師が時間をかけて説明するのは診療行為の阻害につながるほか、負担が増えるため、避けるべきだとした。
こうした意見を踏まえ、厚労省は11日の総会で、同加算を届け出る医療機関が患者に説明する際は書面を渡すこととした上で、説明者は医師に限定しないことを論点に挙げた。
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