【株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺優】
■必要性の高まる排尿ケア
10月3日の中央社会保険医療協議会の「入院医療等の調査・評価分科会」において、療養病棟における膀胱留置カテーテルの留置状況に関するデータが示された。
資料1 入院医療等の調査・評価分科会で示された膀胱留置カテーテルの留置状況(留置期間など)
中医協「入院医療等の調査・評価分科会」(2019年10月3日開催)資料から引用 ※資料2も同様
資料2 入院医療等の調査・評価分科会で示された膀胱留置カテーテルの留置状況(留置している患者割合の分布)
膀胱留置カテーテルの留置自体が、即座に問題視されるものではない。重症者や術後患者などの厳密な尿量測定が必要な場合や、陰部の手術、仙骨部の皮弁術などを行った場合の尿による汚染を防ぐために局所管理が必要な患者は、治療上、カテーテルの留置が絶対的に必要である。一方、それ以外の排尿困難や尿失禁、重度の頻尿などの下部尿路機能障害が予想され、膀胱留置カテーテルの抜去が困難な患者は、適切な排尿ケアを行うことでカテーテル抜去ができる可能性がある。
排尿を自立することができれば、自宅への退院のみならず介護施設などの受け入れ先が拡大し、退院の早期化が期待できる。さらに、カテーテル抜去によりカテーテル関連の尿路感染症のリスクがなくなる。何より、ADLの向上と、人としての尊厳を守ることにつながる。療養病棟におけるカテーテル留置は長期に及ぶ患者が少なくない=資料1=。医療の効率化に対するプレッシャーも背景にあることを踏まえるならば、間違いなく排尿ケアへの介入の必要性は高まる。
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次回配信は10月30日5:00の予定です
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