【吉備国際大学 保健医療福祉学部 作業療法学科 教授 京極真】
Q ある部署の管理職が職責を果たそうとしない、という相談をスタッフから受けました。例えば、患者のご家族からクレームがあっても、一般のスタッフに対応を押し付けるのみで、自ら対応しようとしないらしいです。その管理職は、組織の長である私にはよく働いているように見えるため、スタッフに「立場というものがあるから、まずは管理職と密に連携を取るように」と返答しましたが、スタッフは「それじゃ変わらない…」と不満そうでした。それぞれの部署で、責任を持って対応してもらう方法でよいですよね?
ピラミッド型からネットワーク型へと、情報共有の仕方を変えるとよいです。ピラミッド型は管理しない管理職に情報が集約されるため、この手の問題を解決することは困難だからです。「組織の長」や「一般のスタッフ」といった、立場の違いを超えた迅速な情報共有ができる仕組みを構築していきましょう。
■情報共有の方法を変える
結論から言うと、管理職なのに職責を果たさないスタッフが問題になるケースでは、情報共有の方法を変えた方がよいです。理由は、管理しない管理職に情報が集約される限りにおいて、「上司(院長、副院長、事務長など)には良い顔をしつつ、部下には仕事を押し付ける」という働き方を変えることができないからです。
具体的にお話しすると、管理しない管理職に情報が集約されると、情報量が増える分、都合よく操作できる情報の選択肢が増えます。すると、上司が喜びそうな情報を選択的に上げられますし、部下のスタッフの動きをコントロールすることも容易になります。情報量が多いほど、先読みしやすくなって、いろいろ先手を打てるからです。
こうなると、管理しない管理職を中心に生じる問題の渦から抜けられません。従って、管理職なのに職責を果たさないスタッフがいる時は、「一般スタッフ→上司→上司の上司→上司の上司の上司」の順に進むような、ピラミッド型の情報共有の方法を変える必要があります。
■ネットワーク型の情報共有
では、具体的にどう変えればよいでしょうか。
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