【吉備国際大学 保健医療福祉学部 作業療法学科 教授 京極真】
Q 会議で決まったことなのに、職員がきちんと実行しません。例えば以前、患者さんから「クリニック前の駐車場にゴミが散乱していたので不快だった」とクレームがありました。そのため、会議で話し合い、「お昼に駐車場をチェックし、ゴミが散乱していたら掃除する」と取り決めました。ところが、1〜2週間経過すると誰もやらなくなりました。こういうことがたまにあります。どうしたら職員は会議で決めたことを実行し続けてくれますか?
会議で決めたことが途中で実行されなくなる理由を経営者は理解し、それに応じた対策を展開していけばよいです。
■会議で決めたことが途中で実行されなくなる理由
結論から言うと、理由は以下の通りです。
**理由**
・その1:単純に忘れる
・その2:価値が低い
・その3:忙し過ぎる
・その1:単純に忘れる
単純に忘れるために、会議で決めても途中で実行されなくなることがあります。職員はルーティン化した仕事があるため、それをやっているうちに新しい仕事は記憶から消えることがあるからです。ルーティン化した仕事とは、半自動的に実行されるものです。
例えば、お昼は午後からの臨床業務の準備をルーティンでやっていたら、あれこれ考えることなくそれをやり始めます。すると、「お昼に駐車場のゴミの確認と掃除」という新しい課題は半自動的に選択肢から外れるのです。
このように、日々の臨床にはルーティン化した仕事がいっぱいあるため、会議で決めても定着せずに時間とともに実行されなくなることがあるのです。
・その2:価値が低い
また、会議で決めた仕事の価値が、他の臨床業務に比べて低いと、時間が経つにつれて自然消滅していくことがあります。日々の臨床は、患者の健康状態に関わる仕事の優先度が高く、それ以外は相対的に低いので「やらなくてもよいでしょ…」という思いにつながりやすいからです。
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