【東日本税理士法人代表社員 所長 長英一郎】
近年、病院では看護助手が不足してきている。介護事業所の処遇改善加算の引き上げ、他企業の時給引き上げなどが要因として挙げられる。看護助手を確保するために、外国人技能実習制度を活用する場合、給与以外に=表1=のような費用を3年合計で負担しなければならない。
表1 監理団体、渡航費用等 3年費用比較
※上記費用には給与、社会保険料、社宅費用は含まない
少子高齢化や他企業の給与水準引き上げ、働き方改革などによって、病院での雇用環境や人材採用がますます厳しくなっています。筆者の長英一郎さん(東日本税理士法人所長)が、「病院経営トピック〜人手不足への対応事例をふまえ」と題し、人手不足への対応を進めている病院の事例や、迫り来る2020年度診療報酬改定について解説します。
■ベトナムとフィリピンで異なる技能実習生事情
技能実習生を送り出す主要国であり、東南アジアに位置するベトナムとフィリピン。両国における05-15年の10年間の実質GDP成長率は同じぐらいだが、同期間における最低賃金の上昇率は大きく異なる。
近年ベトナムでは、国内でも十分な収入が得られるようになってきており、日本側とのマッチングが難しくなっている。他の施設と比較して好条件を提示しなければ、求人票の時点でお断りということもある。
一方、フィリピンの労働法では、6カ月間の試用期間が認められているが、企業が正社員としての社会保険料負担を回避するため、6カ月の試用期間が経過する直前に解雇し、グループ会社などを含めて再度雇用することを繰り返す慣例もあることから、最低賃金の上昇が抑えられている。
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