厚生労働省は、医療機器や医療材料をバーコードなどで識別する「UDIシステム」に関する報告書を公表した。モデル病院における実証評価を取り上げており、不具合品の混入を早期に発見し、回収することについて「自動識別の場合は迅速に100%発見できたのに対し、目視の場合は、発見そのものが非常に困難であった」としている。【新井哉】
■安全性の向上やコスト集計の効率化などを調査
実証評価は、東海大医学部付属病院(神奈川県伊勢原市、804床)と市立伊丹病院(兵庫県伊丹市、414床)で行われた。医療安全や病院内での物流・在庫管理の最適化、医療事務の効率化などの観点から、▽トレーサビリティの有効性(リコール時の使用患者の特定)▽安全性の向上(期限切れに対するアラート)▽コスト集計の効率化(医療材料のコスト集計の作業時間短縮に対する有効性)―などの項目について、実証調査を進めた。
東海大医学部付属病院では、1年間の手術件数(約1万2000件)の96%にUDIを適用。電子カルテシステムとの連結も含め、UDI利活用のためのシステム構築の費用を抑えている。運用に当たっては、新たに院内でラベルを貼付することはせず、SPD(供給・加工・分配)業者にはコードマスターの維持管理のみを委託。医療機器(材料)事業者が生産時に貼付するソースコードラベルであるGS1標準バーコードを用いることで、限られた投資と運用費用で成果を上げているという。
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