CBnewsセミナーがこのほど東京都内で開催され、医療機関のマーケティングなどのコンサルティングを行う柴田雄一氏(株式会社ニューハンプシャーMC代表取締役)が「病床稼働を増やす、手術件数を増やす次の手-地域医療連携活動だけに頼らないデジタル・マーケティングの導入-」と題して講演した。柴田氏は、医療のデジタルマーケティングは患者の視点に立ちながら、患者がどのような受診行動をしているのか考えることが大事だとした。【大戸豊】
柴田氏は、地域連携を強化する病院が近年、着実に予定入院を増やしてきたものの、多くの病院もこの動きに倣っていることから、シェアの拡大が難しくなっていると指摘。そのような中、入院需要を獲得する次の一手として、デジタルマーケティングがあるとした。
デジタルマーケティングに注目するのは、最近では50歳以上のスマホ保有率が上昇していたり、治療に関する情報をネットで収集することが普通になっていたりするためだ。
柴田氏がコンサルティングを行う医療機関にも、リスティング広告(検索キーワードに応じて検索結果上に表示される広告)を勧めてきたが、3年ほど前は成果が出ずに広告出稿を止める所もあった。しかし、ここ1年は、広告効果を実感できているため、出稿をやめる医療機関はないという。
デジタルマーケティングを“買う”べき医療機関とは
柴田氏は、まずサービスに関するマーケティング戦略設定のための要素として、米国の経営学者、フィリップ・コトラーが提唱した「7つのP」を挙げた。 (残り1540字 / 全2715字)
「7つのP」とは、▽Product(医療サービス)▽Price(価格)▽Place(場所)▽Promotion(プロモーション)▽Physical Evidence(物的証拠)▽Process(プロセス)▽People(人)―を指す。1つの要素だけに注力せず、7つをバランスよく進める必要がある。その上で特に今回のテーマとなるPromotionについて話を進めた。
コトラーが提唱する「マーケティング4.0」では、スマホ時代のマーケティングの在り方が示されているが、柴田氏は、SNSの登場などでコミュニケーションの環境が激変する中、Promotionの手段も複雑化していることから、マーケティングのフレームワークを活用しながら、誰に何を訴えるのか、シンプルに整理した上で戦略を立てることが重要とした。
フレームワークとは、経営戦略や課題解決の方法をグループなどで検討する際、アイデアを出しやすくしたり、円滑に作業を進めたりするためのツールといえる。柴田氏は、医療分野のマーケティングで活用できるフレームワークとして、▽ペルソナシート▽患者受診行動モデル▽ペイシェントジャーニーマップ▽メディアフレーム-を挙げた。
「ペイシェントジャーニー」を把握しておく理由
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