認知症で判断能力が不十分な人や身寄りがない人が増える中で、医療機関はどう対応していくか―。厚生労働省は、こうした人の入院や医療に係る意思決定が困難な人への支援に関するガイドラインを活用することを推奨。意思決定が困難な人でも安心して医療を受けられる環境を整えたい考えだ。【新井哉】
■「技術的な助言」と位置付けて環境を整備
ガイドラインは、2018年度厚生労働行政推進調査事業費補助金(地域医療基盤開発推進研究事業)の一環でまとめられたもので、厚労省医政局は、都道府県、保健所設置市、特別区に通知を出し、地方自治法に規定する「技術的な助言」と位置付け、環境の整備を促している。
ガイドラインをまとめた研究班は17年に立ち上げられた。病院が成年後見人や身元保証人に求める役割・支援の実態や、病院職員の制度理解の状況などを把握する狙いがあり、全国約6000施設に対する調査を実施し、現状を把握。「多くの現場で対応に苦慮」していることが分かったという。
「身元保証人・身元引受人等」がいないことを前提とした医療機関の対応方法を示す―。こうした方針を掲げているガイドラインの内容は実践的だ。例えば、「身寄りがない人への対応において考えられる支援」の項目では、本人の判断能力の程度や入院費用などの資力の有無、信頼できる家族らの有無に応じて「様々な支援」が考えられるとしている。
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