【株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺優】
■在宅医療の推進は停滞しているのか
2015年3月に示された地域医療構想策定ガイドラインに、「今後、高齢化により増大する医療需要に対応するためには、病床の機能の分化及び連携により、平成37 年(2025 年)には、現在の療養病床以外で対応可能な患者は在宅医療等での対応を促進するとともに、在宅医療等の充実を支援していくことが必要である」とあるように、在宅医療の充実を目指す方向性が示された。また、患者宅に計画的・定期的に訪問して診療を行うことに対する診療報酬点数である、「在宅患者訪問診療料」のレセプト件数は年々伸びている=グラフ1=。
グラフ1 在宅患者訪問診療料のレセプト件数(月当たり)推移
厚生労働省 第1回全国在宅医療会議 資料、社会医療診療行為別統計(旧:社会医療診療行為別調査)を基に作成
しかし、15年度から17年度まではほぼ横ばいで、伸び続けているとは言い難い状況にある。さらに、国が在宅医療の推進をうたい、10年前に比べれば算定件数は増えているものの、在宅医療の機能が十分でないという話を聞くことが多い。機能分化を進めていく上で、在宅医療の充実が課題となっている地域は少なくないと思われる。
■東北地方は在宅の厳しい地域
第3回NDBオープンデータを用いて、75歳以上人口当たりの在宅患者訪問診療料の算定件数を比較した=図1=。東京、神奈川、大阪など、大都市部で算定件数が多い。一方で、栃木、茨城から東北地方にかけて算定件数が少ない。また、福井や高知が少ない点も興味深い。
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