【北海道介護福祉道場 あかい花代表 菊地雅洋】
日本の人口構造を見ると、第一次ベビーブーム(1947-49年)に生まれた人たちが「団塊の世代」と呼ばれ、他の世代より圧倒的に数が多い。その世代が全員後期高齢者に達する2025年から、90歳になって数が減っていく40年くらいまでが、高齢者介護問題の正念場という見方がある。
しかし介護人材確保の面から考えると、団塊の世代に次ぐ塊として、1971年から74年までに生まれた団塊ジュニア世代(第二次ベビーブームで誕生した世代)が存在していることで、その世代の方々が団塊の世代を支える介護人材としても大きな塊となっていると言える。ところが団塊の世代が減っていく2040年以降に、団塊ジュニア世代が70歳となる中で、生産年齢人口はさらに減り続ける。しかもわが国には第三次ベビーブームが起こらず、団塊ジュニア世代を支える次の塊の世代は存在しないことになる。
つまり40年以降に高齢者の数が減り、介護事業者の数が今のレベルで必要とされなくなっていく過程でも、高齢者の数の減少を上回るスピードで介護従事者のなり手が減少していくために、人員・人材確保はますます難しくなる。
そのため今後の高齢者介護を支える人材を、日本人だけで賄おうとすることには無理があるのは明白で、外国人労働者をある程度受け入れ、介護人材として組み入れていかねばならない。そのため外国人技能実習制度に関する法改正を行い、職種に「介護」を追加するとともに、実習期間を最長5年に延長したことに加え、改正入管難民法によって在留資格「特定技能」が新設され、介護分野で最長5年の滞在を可能とするとともに、介護福祉士の資格を得た外国人は、在留期間更新の回数制限もなくなり、永住も可能とした。
19年4月から創設される特定技能に関連し、介護事業者でもその技能に基づく外国人労働者の受け入れを促進するために、全国各地でその説明会が開催されている。
特定技能を持つ外国人が日本の介護事業者で働ける期間は5年で、基本的にはその間に家族の帯同は認められない。しかし介護福祉士の資格を取れば永住への道が開け、配偶者や子を呼ぶこともできるようになる。しかしそれらの人が働く場は特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、特定施設、グループホーム、通所介護などを対象とし、訪問系のサービスは除外されている。そのため、一部の介護事業関係者からは、早急な訪問サービスへの解禁を望む声もある。
図 外国人介護人材受け入れの仕組み クリックで拡大
全国厚生労働関係部局長会議(2019年1月18日) 社会・援護局資料より
■「良い関係性を結べば外国人が定着する」というのは幻想
(残り3625字 / 全4730字)
次回配信は4月25日5:00の予定です
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】