医師偏在の解消を目指す改正医療法・医師法の主要事項が4月に施行される。厚生労働省の医療従事者の需給に関する検討会・医師需給分科会の「第4次中間取りまとめ」では、偏在を是正していく上で基準となる「医師偏在指標」の算出方法や、都道府県が策定する「医師確保計画」の進め方、今後のスケジュールなどが示された。
医師偏在対策は地域医療構想や医師の働き方改革ともリンクし、仕組みも入り組んでいる。2036年度が目標年度となっており、長丁場の対応が求められる。【大戸豊】
今回の改正で、軸となるのは、医師確保対策の実施体制の強化だ。都道府県は「医師確保計画」を策定し、地域医療対策協議会を通じて大学、医師会などと連携しながら対策を進めることになる。
医師確保計画を通じた医師偏在対策について クリックで拡大
第23回医師需給分科会(2018年10月24日)資料より
医師需給分科会の「第4次中間取りまとめ」は、同分科会が16年6月の第1次中間取りまとめで示した「医学部定員の増員により医師数の全国的な増加を図ったとしても、医師の偏在対策が十分図られなければ、地域の医師不足の解消にはつながっていかない」という考え方の下、具体的な対策をまとめたものだ。
医師の偏りをなくすにはまず、偏在の度合いを把握する必要がある。
従来は、人口10万人に対する医師数が偏在を見る指標だったが、少子高齢化が進み、人口が減少していく中で、地域の医療需要を的確に推計し、需要をカバーするのにどれくらいの医師が必要なのかを知る上で、十分とはいえなかった。
そこで、新設されるのが「医師偏在指標」だ。
全国47都道府県の三次医療圏と、二次医療圏(335医療圏)の医師偏在指標を示し、上位3分の1を「医師多数区域」、中間の3分の1を「医師中程度区域」、下位3分の1を「医師少数区域」に区分する。その上で、「医師少数区域」を中心に医師確保を進めていく。医師少数区域(111医療圏)には、全人口の11.8%(約1510万人)が住み、全医師の7.0%(約2万1300人)の医師が勤務している※。
都道府県が将来時点で確保が必要な医師数は、36年度時点で、二次医療圏および都道府県の医師偏在指標が、医師需要の全国平均値と等しい値になる場合の医師数とされている。
※平成28年医師・歯科医師・薬剤師調査、平成29年住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査
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