【株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺優】
■リハビリセラピストの急性期病床での活動が評価・報酬に
前回は、2017年度の病床機能報告データから、DPC算定対象病院のリハビリセラピストの人数についてひもといた。その結果、国公立・公的病院は、民間病院に比べ、圧倒的にリハビリセラピスト人数が少ないことが分かった=グラフ1=。リハビリセラピスト人数に差異が生じる主な理由として挙げたうち、疾患構成の違いまで考慮してはいないが、設置主体が大きな影響を及ぼしていることが示唆された。
【リハビリセラピスト人数に差異が生じる主な理由】※前回既出
設置主体:国公立や公的、民間の違い
病棟機能:回リハ病棟、地域包括ケア病棟のような、急性期以外の病棟を持っているかどうかの違い
疾患構成:脳梗塞や整形疾患のような多くのリハビリを必要とする患者が多いか、眼科・皮膚科のようなあまり必要としない患者が多いかなどの違い
グラフ1 前回示した設置主体別 100床当たりリハビリセラピスト人数の分布
厚生労働省 病床機能報告(2017年度)データを基に作成。100床当たりの人数算出に用いた許可病床数は病床機能報告対象病棟のみ(精神病床等は含まない)。箱ひげ図のひげ上端・下端は90%タイル値、10%タイル値。※グラフ2以降も同様。大学病院(本院以外も含む)の一部条件では数が少ないためグラフ3-5(左)にひげ表記なし
■リハビリセラピスト人数が足りなければ、経営悪化に
このようなリハビリセラピスト人数の違いは、まず、急性期病院の経営に影響を与える。チーム医療の考えが浸透している現状において、全ての診療報酬はさまざまな職種の貢献によって得られるものであることが大前提だが、リハビリセラピストは20分1単位として直接的に診療報酬を得ることができ、その診療報酬が自分の人件費を上回る数少ない職種である。そのため、リハビリセラピスト人数を増やせば、収支・利益率は改善するのが一般的である。国公立病院の経営が厳しい背景には、このような「稼げる」人員を確保できていないこともあるのではないだろうか。
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