医師の働き方について、厚生労働省は、勤務間インターバル制度を導入する案を示している。当直がない日は、通常の日勤(9時間程度の連続勤務)の後の次の勤務までに「一定のインターバル(休息)」を確保し、睡眠時間を確保できる労働環境・条件を整備したい考えだ。一般の労働者の上限を超え、医師に特別な残業時間を設けることになるが、疲労やメンタルヘルスなどの健康面の問題をどのようにチェックしていくかは明確になっていない。【新井哉】
■実現可能性・妥当性踏まえ「何らかの配慮」
勤務間インターバルや完全休日の設定など各医療機関・診療科の特性を踏まえた取り組みを積極的に検討し、導入するよう努める―。「医師の働き方改革に関する検討会」は2月、医療機関に向けて、こう提言していた。厚労省が今回示した案は、医療機関に自主的な取り組みを求めるのではなく、医師の時間外労働規制とセットにして義務付けることが前提だ。
病院常勤医の勤務時間は、約4割が年間960時間を上回っている。これは、脳・心臓疾患についての労災認定基準が定める時間外労働の水準(2ー6月平均月80時間以内)を超え、この2倍の水準の年間1920時間を超える医師が約1割、3倍の年間2880時間を超過する医師が約2%いるという。
こうした時間外労働を改善するためには、医師の数を増やしたり、看護師らへのタスクシフティングを進めたりする必要があるが、時間外労働の上限規制が適用される2024年4月までに、医師の労働時間を現状の「半分」や「3分の1」まで削減することは間に合わない状況だ。
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