【社会医療法人財団慈泉会相澤病院 看護部病棟クラークグループ 内山哲彦、主任 藤原希美】
相澤病院(長野県松本市、460床)は、急性期医療を担う地域の中核病院である。
平均在院日数は10.1日(2017年度)で、短期間で多くの患者が入退院する中、以前は病棟クラークの間でも、患者情報の収集に個人差があり、その患者が退院で抱える問題に退院間近になって初めて気付くこともあった。
そこで、病棟クラークグループ(18人)の中で、情報収集する項目や方法を標準化した。その上で患者背景を把握し、療養や経済面などの問題を明らかにしながら、スムーズな退院を進めている。このような対応は、病棟クラークグループの部署ビジョンに基づいている。
病棟クラークグループ部署ビジョン
・入院時から患者背景を適正に把握する
・多職種と情報共有、連携する
・スムーズに退院できるよう支援する
当院で進めた患者情報の収集力アップの取り組みを説明する。
1.既存のマニュアルの整備と業務の手順の標準化
情報収集の標準化には、マニュアルの整備が必要だが、その内容は院内外の制度変更などによって頻繁に変わる。そこで「マニュアル係」を決め、マニュアルを定期的にメンテナンスし、月1回の勉強会の企画・運営を担当した。この対応により、クラーク業務の標準化が進み、対応についての部署内の認識も統一されていった。
2.「情報収集リスト」の作成と活用
病棟クラークが知っておきたい個々の患者情報とは、およそ以下の点ではないか。
○入院経路、目的、期間
○保険証・利用できる制度
○医療費、未収金関連
○本人・家族情報
○提出書類状況など
当部署では、このほかにも必要な情報を追加し、「情報収集リスト」に記入することで、患者背景がより把握しやすくなった。転棟の際は、このリストを次の病棟へ送り、その病棟でも必要に応じて情報を追記している。これにより、転棟時の申し送りは簡潔になったほか、繰り返し「情報収集リスト」を作成することは、患者背景を整理する訓練にもなり、メンバーのスキルもアップした。
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