建物の耐震化、飲用水を確保するための井戸の掘削、非常食の備蓄…。大規模災害に備え、医療機関は高額な費用を投じて対策を講じる必要があると思われがちだ。こうしたハード中心の防災対策に一石を投じる取り組みが広がりつつある。コストを抑えながらも効果が見込める方法はあるのか。マニュアル策定などのソフト面や医療現場のニーズを重視する試みを探った。【新井哉】
■課題抽出しマニュアルをブラッシュアップ
「どの業務」を優先的に実施し、経営資源を投入するか―。こうした実践的な判断を迅速に行うため、栃木県と栃木県病院協会は7月、病院関係者を対象にしたBCP(事業継続計画)に関するセミナーを開催した。医療機関における災害対応の基本的枠組みを整理するのが目的。損害保険会社の専任講師による講演とワークショップによる実践的な研修を通じて、円滑で的確な災害対応を身に付けてもらいたい考えだ。
ここ数年、栃木県の取り組みのように、BCPの策定で対策を終わらせず、実践的な研修や被災経験を基に「災害時に役立つ」BCPやマニュアルに変えようとする動きが出てきている。
(残り1269字 / 全1742字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】