アルコールやギャンブルなどの依存症の専門医療機関の選定作業が進んでいる。国は都道府県・政令指定都市ごとに専門医療機関を設置することを求めており、すでに医療提供体制を整えた自治体もある。その一方で、医療機関の協力を得られず、選定が思うように進まない自治体もあり、依存症の医療提供体制をめぐっては都道府県間で格差が生じつつある。【新井哉】
■体制整えた広島県、拠点機関がHPで情報発信も
2016年5月に閣議決定された「アルコール健康障害対策推進基本計画」では、アルコールの健康障害に関する予防から治療・相談まで「切れ目のない支援体制」の整備の必要性を挙げ、アルコール依存症の治療拠点となる専門医療機関の整備を求めていた。これを受け、厚生労働省は依存症対策総合支援事業の実施要綱を策定。現在、都道府県と政令指定都市で依存症の専門医療機関とその連携拠点となる拠点機関の選定作業が進められている。
実施要綱によると、都道府県は依存症の専門医療機関を選定し、その中から治療拠点を選ぶ。専門医療機関が対象とする依存症については、▽アルコール健康障害▽薬物依存症▽ギャンブル依存症―を提示。「全ての対象の依存症について治療を行っていない場合であっても依存症専門医療機関として選定して差し支えない」としており、例えばアルコールだけを専門としていた医療機関も都道府県の裁量で選べるようにしていた。
選定を終えて患者の受け入れ体制を整えた都道府県もある。広島県は3月22日に瀬野川病院(広島市安芸区)を拠点機関として選定したのを皮切りに、6月までに専門医療機関として7施設を選んだ。今後も医療機関から申請があれば、随時選定していく方針だ。
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