厚生労働省保険局の迫井正深医療課長へのインタビュー。後編は、地域包括ケア病棟と療養病棟に関する内容をまとめました。【大戸豊、兼松昭夫】
■地域包括ケア病棟機能は中小病院中心
―2018年度診療報酬改定では、回復期だけでなく、許可病床200床以上の療養病棟もデータ提出加算の対象になりましたが、集めたデータは何に使うのですか?
今求められているのは、どのような患者にどのような医療をどれだけ提供しているのか、といった診療実態を把握して、これから30年先、40年先まで持続的に入院医療を提供できるようにする糸口を探すことです。少子化が進んでマンパワーが限られる中、医療の需給ミスマッチを解消するにはそれが大前提になります。
入院医療の提供を考えるには、急性期医療だけでなく、回復期や長期療養も含めた全体像の把握が必要です。「医療ニーズに応じて資源投入できるようにする」ということは、それぞれの実態を把握することに他ならないですからね。
―地域包括ケア病棟入院料1と入院料3、地域包括ケア入院医療管理料1と管理料3では、「地域包括ケアに関する実績」が200床未満の病院にのみ設定されました。
「200床」という数字自体はさておき、これは、いわゆる大病院との役割分担を、入院だけでなく外来医療も含めてどう考えるか、という病院医療の全体に関する大きなテーマです。大病院から有床診療所まで、医療機関は現在、外来と入院医療の両方に対応していますが、外来医療については、かかりつけ医機能の重要性が指摘される中で、高度化した入院とかかりつけ医機能を果たす外来の双方で、十分な質を維持し続けるのは難しいのではないでしょうか。だから、大病院の外来には専門や紹介に特化していただき、かかりつけ医機能は開業医を中心にカバーしていただく、という役割分担に行き着くのです。
(残り2268字 / 全3033字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】
【関連キーワード】