2018年度診療報酬改定では、入院医療への評価体系が大きく変わりました。狙いは何だったの? これからどうなるの? CBnews編集部の取材に、厚生労働省保険局の迫井正深課長が答えてくれました。詳しいやり取りを2回にわたってお届けします。【大戸豊、兼松昭夫】
※インタビューの後編は7月5日午前5時に配信する予定です。
■「全国一律に誘導」の時代は終わり
―2018年度の診療報酬改定では、入院医療への評価が大きく変わりました。
医療現場が無理をせず需要に見合った入院医療の提供体制をつくれるようにするのが狙いです。医療のニーズは人口構成、疾病構造、医薬品など医療技術の新規導入などによって大体決まっていきます。このうち人口構成が将来、どう変わるかの予見可能性は極めて高く、世代ごとの疾患罹患率を組み合わせれば、ある程度の将来推計が可能になりました。
―入院医療では、どの疾患にどのような治療が行われているかがDPCの普及によってデータ上明らかになってきました。
そう。入院医療は、中長期的な視点で計画的に体制を整備しないと需給のミスマッチが生じます。
そこで、人口動態と年代ごとの疾患構成にDPCのデータを掛け合わせることで、入院医療への将来需要が見えてきます。それをベースに、需要に見合った提供体制をつくろうというのが各都道府県の地域医療構想です。25年が地域医療構想の当面のターゲットですが、これは通過点にすぎない。高齢者人口は日本全体では40年にピークを迎え、その後は縮小します。そして60年にはどうなっていくのか。こうした長期的な視点で考えることが必要だし、実際できるようになってきたのです。
現時点では、従来の7対1入院基本料のように、資源を集中的に投入するような高度急性期や急性期の病床がとても多い。だけど、将来的には急性期よりもむしろ回復期や慢性期のニーズが増え、高度急性期や急性期も一定程度必要だとしても、需要は縮小する見通しです。それなら、病床機能の分布をニーズに合わせて変えなくてはならない。
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