医師がパソコンの画面ではなく、患者と正面を向き合って会話できるように、AIによる音声の書面化を進める―。内閣府が明らかにした「AIホスピタルによる高度診療・治療システム研究開発計画」の案では、医療機関がAIによる診療支援システムを導入することで、医師や看護師らの負担軽減を図る方向性が示されている。AIの活用は医療現場の働き方改革につながるのか。【新井哉】
■患者と目を合わさずに診察するケースを改善
2018年は「AIホスピタル元年」になるかもしれない。医師に代わって糖尿病性網膜症の診断を下す「IDx-DR」が18年4月にAI医療機器として米国で初めて認可されたからだ。この機器を用いて患者の網膜画像を解析した場合、1分未満で糖尿病性網膜症かどうか診断できるという。
AIの開発・活用に関して、日本は米国や中国に後れを取っている。このまま何もしなければ、国内の医療現場は海外のシステムに席巻されかねない。こうした状況を踏まえ、計画案では「プライバシーの機微に関わる医療情報に関するAIの利用を、海外のAIシステムを利用することで済ませていいのかどうか、国益を賭けて判断する必要がある」と疑義を呈し、国内でAIの商品化を目指すプロジェクトを掲げている。
プロジェクトのテーマの1つが、診療時記録の自動文書化などの診療現場支援システムの開発だ。医師がパソコンの画面を見ながら、患者と目を合わさずに診察をする場面を解消するといった目的がある。
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