高齢者の健康度などに応じた居場所と役割の提供を-。経済産業省はこのほど、「社会参加等による認知症・要介護状態の予防・進行抑制に関する調査」報告書を公表した※。アクティブなシニアから、要支援の高齢者まで、どのように「居場所」と「役割」を提供することが社会参加につながり、結果的にフレイル(虚弱)や認知症の予防、進行抑制につながるのかを整理している。地域活動を進めたい医療法人などは参考になるかもしれない。【大戸豊】
※「平成29年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備」の一環で、三菱UFJリサーチ&コンサルティングが調査を担当している。
独居や退職などによって、やることが一時的に失われ、家の中などに閉じこもってしまえば、フレイルや要支援・要介護状態に陥るリスクが高まる。報告書では、高齢者が「居場所」や「役割」を確保し、生きがいを持ち続けることで、結果としてフレイルや認知症や要介護状態になることを遅らせることにつながると考えている。
■体力や健康度、関心に応じた、さまざまな社会参画
報告書では、高齢者の体力や健康度、関心に応じた、さまざまな社会参画の事例が紹介されている。
北欧で生まれたコレクティブハウスは、子どもから高齢者まで多様な世代が住み、食堂などの空間をシェアし、食事をする機会などを設けながら、緩やかにつながるコミュニティーをつくる空間とされているが、日本でも取り組みが少しずつ広がっている。
高齢者の就労形態も多様になっている。高齢者に特化した人材派遣業者は、ビルメンテナンス、ベッドメイキング、オフィスワーク、物流などの人材派遣や紹介業務を行っており、早朝の時間外労働をアクティブシニアが担当するサービスも提供している。このようなサービスは、働く意欲の強いアクティブな高齢者が対象だが、自治体の事例では、積極的に就労したい人から、賃金は少なくても体調に合わせながら、責任を感じられる役割を得たり、ボランティアとして社会参画したりしたい人まで、対象を幅広くしている。
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