厚生労働省は、循環器疾患緩和ケアチームの体制整備に乗り出した。終末期に緩和ケアが必要な患者の中で、患者数が最も多いのが心不全などの循環器疾患だからだ。厚労省は緩和ケアチームを持つ病院を含めた既存の医療提供体制を活用し、循環器疾患に関する終末期医療のすそ野を広げたい考えだ。【新井哉】
■報告書を参考に診療体制構築を
緩和ケアを提供する際、多職種が連携しながら、病院と在宅間で医療従事者が相談できるチーム体制が必要だ。しかし、循環器疾患の専門的な知識を持つ看護師や栄養士、薬剤師などの人材は不足気味。特に心不全では、「増悪」と「寛解」を繰り返すため、緩和ケアを行う医療機関には、循環器疾患の急性期医療を提供している病院との連携が求められている。
また、高齢化の進展に伴い、さまざまな合併症を持つ患者が増えてきた。そのため、多職種が連携することに加え、各疾病に対する専門的な判断が求められる際に、相談ができる「コンサルタント体制」が望まれていた。
こうした状況などを踏まえ、厚労省の「循環器疾患の患者に対する緩和ケア提供体制のあり方に関するワーキンググループ」が2017年9月から医療提供体制に関する議論を行い、18年4月に報告書をまとめた。これを受け、厚労省は都道府県に通知を出し、報告書の内容を参考にして循環器疾患の診療体制を構築するよう求めている。
■がん診療連携拠点病院の緩和ケアチームをモデルに
ワーキンググループの会合で、厚労省は循環器疾患の緩和ケアチームの整備に向けた検討案を示し、議論をリードしてきた。厚労省がモデルとしたのが、がん診療連携拠点病院などの緩和ケアチームだ。
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